皆さん,精進してますか!
よた郎です。
なんとなく日本刀や日本の古武道に興味があるけれど,今まで運動をしたこともないし始めるための伝手もないので,どうやって道場を探せばいいのわからない。だから居合を習うことを諦めてるなんて方はいませんか?
この記事では居合を始めたいけれど,何から始めればいいのか全く分からないという人に向けて,居合をスタートするための方法をわかりやすく4ステップに分けて解説します。
結論から言ってしまうと初心者が道場を選ぶのに重要なのは,目的の設定と比較検討をきちんとすることがポイントになります。
最後まで読めば,侍になるための第一歩が踏み出せるはずですよ。
Step1:居合に何を求めるのか
はい!
それでは早速,居合の道場を探しましょー…………と言いたいところですが,その前にやらなければいけないことがあります。
それは,居合をやる目的についてよく考えることです。
「いや,そんなんどーでもいいから,とっとと道場とか紹介せーや!」
という声が聞こえてきそうですが,ココは滅茶苦茶重要なところです。
何故重要なのかというと,物事を始めるときは目的と手段と目標の設定が基本になるからです。
例えばの話ですが日本からハワイに遊びに行きたいときに,いきなり手作りの船で海に漕ぎ出す人はいないですよね。万が一いたとしても,超高確率で遭難しているはずです。
ちゃんとハワイにたどり着くためには,チケットを購入して空港に行き,飛行機に乗る必要があります。
この時の目的・手段・目標はこんな感じですね。
- 目的:ハワイに行く
- 手段:飛行機
- 目標:チケットの購入,空港に行く
ちなみに目的とは成し遂げようと目指すゴールのことで,手段は目的を達成するための具体的なやり方,目標は目的を達成するための目じるしのことです。詳しくは広辞苑に書いてあります。
本題に戻ると,居合というのは何かの目的を達成すための手段であり,道場に通ったり先生に習ったりというのは目標の一部になります。
つまり居合という手段を使って,何をしたいのかを明確にしておいた方が道場選びの基準がわかりやすくなるとうことです。
健康維持のための適度な運動をしようと思って始めるのであれば,ガチガチの体育会系のところは合いませんし,学びたい流派があるのに違う流派の道場に通っても意味がありません。
自分が居合に何を求めているかを,明確にしておくと道場選びの際にブレなくなります。
でも,こんな話をすると,
「そんなこと言われたって,居合のこと何にも知らないし,なんとなくカッコイイと思っただけだから何も思いつかないよ!
あー,めんどくさー! やっぱり居合を始めるのなんか,やーめた。」
なんて思う人が大半だと思います。
せっかく居合に興味を持ってくれたのに,このブログのせいで始める前から挫折してしまうのはもったいないので,目標設定のための簡単な表を作ってみました。
自分の価値観に最も近いものを探して,道場選びの参考にしてみてください。
目的 | 適切な道場や先生 |
---|---|
・強くなりたい ・日本刀の扱いを学びたい ・心身の鍛練をしたい | ・実際に技をかけ合いながら稽古している道場 ・精神論でなく具体的な技術論で説明している道場 ・居合のほかに剣道や格闘技をやっていて,そちらで実績のある先生 ・稽古日が多い道場 |
・適度な運動をしたい ・健康のために | ・稽古日・稽古時間がそこそこの道場 ・無理な稽古,厳しすぎる指導をしない先生 |
・仲間を増やしたい ・趣味の中の一つとしてやりたい | ・人数が多い道場 ・年齢層が広い道場 ・雰囲気がいい道場 |
・日本の文化を学びたい | ・やりたい流派の道場 ・地域特有の流派がある道場 ・歴史のある道場 ・沿革や歴史的背景などについて答えてくれる先生 |
・格好いいパフォーマンスをしたい | ・動きの激しい形の流派を教えている道場 ・YouTubeなどSNSに投稿している道場 |
どうでしょうか?
簡易的な表ですが,参考になりましたかね。
ここで挙げたものに,限らず自分の中の価値観がしっかりしていれば,道場や先生を選ぶ際に悩むことが少なくなると思います。
まずは,ぼんやりとでもいいので,自分がどういった部分に興味を持っているのかを感じてみてください。
ちなみに,僕が居合を始めたときに考えていたことは,こんな感じです。
「大学生になったので軽音楽サークルに入ろうと思って,サークル勧誘会場に行ってみたら日本刀が飾ってあるブースがあったので話を聞いてみたら,居合という形稽古を行う武道があるらしいじゃん。子供の頃から憧れていた剣道をやるのは体力的に厳しくても,居合なら体重40kg台のモヤシ野郎でも楽勝じゃーん。とりあえずバンドの片手間に掛け持ちしとこーっと♪」
「よく,ドヤ顔でこんな記事かけたな!!」
Step2:道場を探そう
はい!
自分が居合に何を求めるのわかったら,次は道場探しのターンです。
ここはそんなに難しく考える必要はないので,インターネットを使って検索しましょう。
とは言っても,どんなワードで検索すればいいのかわからないという方もいると思うので,いくつかのパターンを紹介してみます。
こんな感じです。
- CASE1:「地域名+居合」で検索する
- CASE2:「地区剣道連盟」の「居合道部」から探す
- CASE3:「居合道 道場案内所」から探す
- CASE4:「WEB秘伝」から探す
- CASE5:「YouTube」や「Twitter」で探す
- CASE6:「流派名」で検索する
ただし,WEBサイトやSNSを活用していない道場もあるので,過信は禁物です。
インターネット以外から入ってくる情報があるのであれば,道場選びの候補として検討してみるといいでしょう。
それでは,それぞれのケースについて具体的に解説していきます。
CASE1:「地域名+居合」で検索する
最初に紹介する方法は,「自分の住んでいる地域名」と「居合」というワードで検索する方法です。
一番簡単な方法ですね。
こんな感じです。
⇓
⇓
今回の例は東京都で調べたので2ページ目以降に個人道場のWEBサイトが出てきましたが,都道府県によっては1ページ目からでも出てきます。
気になる道場のサイトを開いて,稽古時間や連絡先を確認しましょう。
住んでいる地域名については「関東地方」などの地方名や「足立区」などの市区町村名で検索しても問題ありません。
自分の通いやすい範囲で調べてみましょう。
CASE2:「地区剣道連盟」の「居合道部」から探す
2つ目の方法は,剣道連盟のサイトから探す方法です。
剣道連盟の居合道部は,2021年3月末日現在で95,954人の有段者が登録されており,居合を所管する団体としては国内最大のものです。
段位の発行なども行っており,団体の規模からみても一定以上の信頼性が担保されてると言えます。
「おれ,剣道○○段なんだよね~」
と言われたときに,
「ふ~ん。そうなんだ。」と思えるレベルの信頼度ですかね。
ちなみに,僕の肩書である「居合道五段,剣道三段」というのも,この剣道連盟が発行しているものですよ。
ある程度の信頼性がある一方で,日本古来から伝わる「古流」の修練よりも,近現代に成立した「制定居合」の稽古に重きを置く傾向にあることや,最高段位である「八段審査」の審査時における「不正な金銭授受」があったことなど,全剣連居合道部が抱えている問題があることには留意してください。
それはさておき,具体的な調べ方については,こんな感じです。
⇓
⇓
今回検索した「大阪府剣道連盟」のホームページはしっかりと作られていましたが,地域によっては登録団体などが載っていないところもあります。
そういった場合には,別の方法で探すか地区剣の連事務局に連絡して登録団体を教えてもらえないか確認してみてください。
「剣道連盟のITスキルのレベルは地域によってバラバラだから,掲載されている情報量にはかなりの差があるのです。
挨拶文と行事予定くらいしか載ってないサイトもあるよ」
CASE3:「居合道 道場案内所」から探す
続いて紹介する方法は,「居合道 道場案内所」というWEBサイトから探す方法です。
個人のWEBサイトですが,
- 都道府県から探す
- 流派名から探す
- 所属組織から探す
- 地図から探す
の4つの方法から探すことができるので,使い勝手がとてもよいです。
ただし掲載されている団体は,このサイトへ登録申し込みをした道場なので,ここには掲載されていない団体があることは気を付けてください。
探し方はこんな感じです。
(↓↓↓下記リンクからも飛べます。↓↓↓)
https://iai-dojo.jp/
⇓
⇓
CASE4:「WEB秘伝」から探す
次に紹介するのは「WEB秘伝」というサイトの「全国道場ガイド」から探す方法です。
このサイトは「月刊秘伝」という全国紙の公式ホームページです。
月刊秘伝は古武道や中国武術を紹介する専門誌で,他の雑誌とは一線を画すかなり尖った内容で,玉石混淆のクセの強い記事が多く掲載されています。
そんな風変わりな専門誌のWEBサイトのため扱っている武術が多種類に及ぶことから,居合道場の掲載数は多くありません。ですが他の検索方法ではヒットしないような,独特な道場も紹介されています。
調べ方は以下の通りです。
(↓↓↓下記リンクからも飛べます。↓↓↓)
http://webhiden.jp/guide/category/ken/
⇓
⇓
CASE5:「YouTube」や「Twitter」で探す
お次の方法は「YouTube」や「Twitter」 などのSNSで探すやり方です。
SNSならば動画を使って実際の動きが見られるので,稽古内容がイメージしやすいと思います。
自分たちで動画などを投稿している団体であれば,インターネットを扱う能力も一定以上はあるはずなので連絡も取りやすいと思います。
その一方で他の団体から,距離を置いている・置かれている「はぐれもの」ような方もいるので,そういった点には注意が必要かもしれません。
またSNSの特性上,注目を集めるための動画が多いので,実際の稽古の内容や質がわかるとは限らないです。
派手なパフォーマンスに騙されないようにしましょう。
探し方はこんな感じです。
(↓↓↓下記リンクからも飛べます。↓↓↓)
https://www.youtube.com/
⇓
⇓
気になる動画を見つけたら,概要欄のリンクから飛んだり,道場名や流派名をGoogleで検索
CASE6:「流派名」で検索する
テレビやSNSでかっこいい刀のアクションを見つけたら,テンション上がりませんか。
ブルース・リーの映画を見た後に,ジークンドーを習いたくなるようなあの感じです。
そんな感じでテンションが上がっている人におススメする方法は,流派名や個人名で検索する方法です。
どうしても習いたい流派や教わりたい先生がいるのであれば,この方法一択ですね。
CASE 1~5の方法に流派名を組み合わせて検索してみましょう。
ただし居合はマイナー武道なので,自分の通える範囲に習いたい流派がない可能性はかなり高いことには注意急いてください。
ちなみに,
「流派の特徴を理解してから道場を探したいけど,どうすればいいのかわからないよ。
助けてド○えも~ん!!」
みたいなタイプの人は,「Wikipedia」カテゴリ:居合の中に様々な流派や人物や用語が載っているので,参考にする方法もあります。
(↓↓↓下記リンクから飛べます。↓↓↓)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E5%B1%85%E5%90%88
ただし個人的には,この方法はそこまでおススメしません。
何故なのかというとWikipediaは誰でも編集可能なので,自分の流派の特徴や歴史を過度に脚色して書いてしまったりケースがあったりするんですよね。
記載されているある内容を鵜呑みしてしまうと,嘘と本当がわからなくなってしまいます。
なので,話半分くらいに読んでおく方が無難です。
この辺りは道場見学の際にも気を付けなければならないのでStep3でも説明します。
それはさておき調べ方の例はこんな感じです。
⇓
⇓
さて色々な探し方を紹介しましたが,目ぼしい道場は見つけられそうでしょうか?
「お,ええ道場見つけた!
早速ここに入門しよ」
と思った人は,かなり気が早いので一回落ち着きましょう。
次のステップでは道場見学について解説しますが,通いたい道場の候補は複数用意しておきましょう。
理由は後でちゃんと説明しますが,損をしないためには「見積・比較」をするのは鉄則です。
Step3: 道場を見に行こう
Step2の記事を読んで良さそうな道場は探せたでしょうか?
いい道場が見つかったのなら,次はいよいよ見学に行きましょう。
インターネットだけじゃ全てはわかりません。まずは現物を見なければ!
ということでStep3でやることは以下の通りです。
- 事前に連絡をする
- 周辺を確認する
- 道場を見学する
①事前に連絡をする
道場を見学する際に,まずやらなければいけないことは何でしょうか?
そうです! 取り敢えず道場に行ってみる……………………ではなく,道場見学の意思を相手方に伝えることですね。
いきなり押し掛けてしまうと,大会などの行事で道場が閉まっていたり指導者が不在だったりすることがあります。
飛び込みで見学ができたとしても,人によってはアポなしで訪問すると非常識だと思われて不快に思われるケースがあるかもしれません。
それでは連絡手段は何を使えばいいでしょうか?
主な手段はとしては電話とメールがありますが,僕としては電話を勧めます。
何故ならば居合の先生は高齢者が多いからです!!
……………………そう,高齢の方が多いのです。
メールを確認しない可能性が高いんです。
せっかくメールで見学の申し込みをしたのに,待てど暮らせど返事はなし。
だんだん熱も冷めてしまった,なんてことになったら悲しいです。
そうならないためには,電話で約束を取り付ける方が手っ取り早いです。
常識的な時間帯に電話をかけてみましょう。
ちなみに連絡先はStep2で調べたWEBサイトに載っていることがほとんどです。
どこをどう調べてもわからないという場合は,地区の剣道連盟の居合道部に問い合わせれば教えてもらえる可能性があります。
また連絡する際には,以下のことを話すといいでしょう。
- 自分の氏名
- 見学を希望する旨
- 見学可能な日程はいつなのかの確認
- 交通アクセスの確認(最寄り駅,バス,駐車場など)
- その他の注意事項の確認
取り立てて特別な内容ではないですね。
②周辺を確認する
日程が決まったらいよいよ道場を訪問しましょう。
といっても道中で何も考えずにボケーっとと行くのは勿体ないです。
せっかくならば,情報収集しながら向かいましょう♪
- どんな交通手段が使えるか?
- 自宅や職場からどれくらいの時間で行けるのか?
- 近くにお店や飲食店はあるか?
- 周辺の治安は問題なさそうか?
こういったことも気にしながら道場に向かうと吉ですよ。
何故なのかというと,次のような事例を考えてみると分かりやすいと思います。
例えばこんな道場があるとします。
徒歩でしか行けないような山奥に立地していて,片道だけで5~6時間かかってしまう。しかも,近隣にお店もないので喉が渇いてもお腹が減っても何も買えないまま。帰り道は街灯もない真っ暗な夜道をビクビクしながら帰宅する。
どうでしょうか?
どんなに素晴らしい道場だったとしても,継続して通うのは難しそうですよね。
少なくともムッチャクチャ大変そうです。
習い事を始めるということは,生活の一部に『稽古場所に行く』ということ組み込まれることです。
良くも悪くも自分の生活圏が変化します。
稽古の内容にばかり目が行ってしまうと,その変化が心地よいものなのか苦しいものなのかを軽視してしまいがちです。
通い始めの頃は目を輝かせていて,まるでスーパーサイヤ人のオーラでも纏っているんじゃないかと錯覚しそうな感じだった人が,県外からの長距離移動や仕事などの生活リズムが合っていないことが負担となって徐々に疲弊していき,最後は燃え尽きたようになってしまって,段位や目録を取ったことを切っ掛けに道場に顔を出さなくなってしまう。
僕もそんな光景を実際に何度も見てきました。
誤解はしないでほしいのですが,道場に通えなくなる人を非難する意図は一切ありません。
やる気がないとか根性なしとかいう話ではないのです。
習い事というのは自分の人生を豊かにするためのものです。
「ああ,勉強になった!」とか「将来の選択肢が広がるぞ~」という類のものです。
本質的には学びが得られて楽しいもののはずです。
楽しいことを継続する中で一時的に苦しい時期があったり,壁を乗り越えるために努力したりすることもあるかもしれません。
ですが,稽古に通うという生活スタイル自体に苦痛を感じるようであれば,継続する必要はないと思います。
お稽古は自由で豊かにに生きるための習うもの。それに縛られて拘束されるようでは本末転倒です。
人生は楽しんで幸せになったもん勝ちです!
「僕は車で小1時間かかる道場に週3~4日,バスと電車に片道3~4時間揺られる道場に数か月に1回くらいの割合で通ってるけどな。
何を楽しいと思うかは人それぞれということで。」
「だから,なんでドヤ顔でこんな記事かけるんだよ!!」
③見学する
いよいよ道場にたどり着きましたね。
ここまで来れば後は道場の先生が説明してくれるはずです。
すべて任せてしまいましょう。
お疲れさまでした。
なんて投げっぱなしにすると無責任すぎるので,予想できる大体の流れを書いてみます。
ただし道場によってケースバイケースであることは,ご理解ください。
多分こんな感じで進みます。
- 01:流派・道場の説明を聞く
- 02:稽古の内容を見る
- 03:体験してみる
- 04:質問をする
01:流派・道場の説明を聞く
恐らく大抵の道場で最初に行われるのは,口頭による説明でしょう。
来館者用パンフレットを作っているような所は,まずないと思います。
指導者や親切な門下生が,流派の謂われや道場の沿革などを説明してくれるはずです。
自分たちの道場の素晴らしい部分を知ってほしくて,饒舌になりすぎる人もいますがそこはご愛敬です。
僕のことじゃないですよ(笑)
ただし説明を聞くときは,あまり真剣になりすぎる必要はないと思います。
聞き流したらだめですけどね!
なんでかというと理由は3つほどあります。
1つ目の理由は,歴史と道場の良し悪しは直接関係しないから。
口頭で受ける説明によって,普段行われている稽古の内容や人間関係が変わるわけではないからですね。
百聞は一見に如かずです。
2つ目の理由は,説明してくれる人が正しい知識を持っているとは限らないからですね。
意外かもしれませんが,一般の修行者は自分の流派の歴史や沿革などをあまり知らなかったりします。
僕も人に語れるほど詳しくはなかったりします。
詳しくない例
「あのねあのね,宮本武蔵は塚原卜を不意打ちしたことがあってね。
そのときに鍋の蓋で攻撃を防御されたんだってさ♪」
「アレ?
武蔵って卜伝がなくなった後に
生まれてなかったっけ……?」
3つ目の理由は,話の内容よりも人柄を観察してほしいからです。
入門することになれば先生や門下生とは長く付き合うことになると思うので,人間関係はとても大事なことになります。
別にメンタリストのような詳細な分析はしなくていいので,その人とうまくやっていけそうか考えてください。
身振りや態度,仕草や語り口などを観察して不快・不信に思うところがないかですね。
ぶっちゃけフィーリングです。
でも,この辺の直感は結構大切ですよ。
長くかかわるかもしれない人ですからね。
信頼できる方がいいに決まってます。
ちょっと話はズレますが,心理学的には『初頭効果』といって,最初に与えられたイメージが後々まで判断に影響を与えることがわかっています。
最初にポジティブな印象を持てば相手の行動を好意的に受け止め,悪い先入観を抱いていれば些細なこと不快感を覚えるということですね。
試しにちょっと実験してみましょう。
次の2つの文を読んでどんな印象を持ちますか?
- 優しい,誠実,頑張り屋,疑り深い,陰険,根暗
- 根暗,陰険,疑り深い,頑張り屋,誠実,優しい
ほとんどの人は前の文に良い印象を持って,後の文に悪い印象を持ったと思います。
単語の並び順が逆になっているだけなのに,不思議ですね。
これだけ重大な影響を与える初頭効果ですが,人間関係で言えば第一印象が初頭効果に当たります。
そして第一印象に影響を与える情報の割合は『メラビアンの法則』と言って,こんな感じになっています。
- 資格情報
見た目,仕草,表情など - 聴覚情報
話し方,声の調子,速さなど - 言語情報
会話の内容,言葉の意味など
「人は見た目と話し方が9割だ!
話の内容は第一印象にほとんど影響がないよ。
そして,第一印象はその後の人間関係に深く影響するよ。」
02:稽古の内容を見る
さてさて,説明を聞き終えたらいよいよ実際に稽古している状況を見学です。
ここでじっくりと実力を見定めましょう!!
・
・
・
・
・
・
ていっても,居合の稽古って傍から見てても強いのか弱いのか分かりにくいんですよね。
初心者が見ても,分けわからん意味わからん詰まらんってなると思います。
なので,ここでは指導内容に注目してみましょう。
- 論理的な指導がされているか
- 指導の頻度は適切か
- 高圧的な指導がされていないか
- 指導者も稽古しているか
①については,指導の内容がどれだけ分かりやすく説明されているかを見るということです。
例えば「大きく切れ」とか「ちゃんと相手の攻撃を防げ」などの言葉だけで指導されても技術はなかなか進歩しません。抽象的な言葉だけで上達できる人は少数派でしょう。
特に居合は実際に相手と打ち合わないので,想像だけではどうしてもわかりにくい部分が出てきてしまうのはしょうがないことです。
そういう時に
「刀の重心はこの場所にあるから,その軌道だと無駄が多いよ。動き始めと相手に当たる瞬間の重心を結んだ線が緩やかな放物線を描くようにしよう」
とか
「その受け方だと相手の切りのベクトルと合ってないから受け流せないよ。この角度で攻撃が当たるんだから,力の向きを逸らすように,この方向で防いでみよう」
などの指導をしてもらえれば理解の助けになるでしょう。
「……て,文字だけの説明だと分かりづらいんやけど。
分かりやすく論理的にっていう,ブログの前提崩れてない?」
「あ,後から!
後から図解付きで分かりやすい記事を書くから!!」
②に関しては,指導の回数が多すぎたり少なすぎたりしていないかを注意しましょう。
どれだけ分かりやすい説明をしたとしても,ず~~っと話を聞かせるだけでは意味がありません。
習った内容を即座にできる人なんていません。何度も反復で稽古して工夫して身に着けるものです。
それなのに途中で何度も口を出して練習を中断させてしまったら,かえって上達を阻害してしまいます。
逆に何にも教えてもらえないなら,道場に行く意味が薄れてしまいます。自宅で一人でも居合は稽古できますからね。
適切なタイミングで指導してくれる先生の方が良いでしょう。
もちろん教わる側も,周りを観察して技術を学び取る姿勢は大切です。
見て盗むというやつですね。
指導の頻度が多すぎる例
「目玉焼きを作ってるのかい?
気をつけて・・・キヲツケテ!もっとバターが必要だよ!ああ,だめだ!
君は一度にたくさん作り過ぎだよ。作り過ぎだよ!ひっくり返して!
今ひっくり返して!もう少しバターを入れて!あーあー!
バターがもうないじゃないか!くっついちゃうよ!気をつけて・・・
キヲツケテ!気をつけてって言っているのが分からないのか!
君は料理をしている時は,絶対僕の言うことを聞いてないね!
いつもだよ!ひっくり返して!はやく!どうかしているのか?
おかしくなったんじゃないのか?塩を振るのを忘れないで。
君はいつも目玉焼きに塩をするのを忘れるから。塩を使って。
塩を使って!塩だよ!」
「じゃかあしい!
黙っとれ!!」
参考:コピペ辞書『朝食の目玉焼きを作っていたら』
(http://blog.livedoor.jp/sana_dolls-copy/archives/24191242.html)
③の内容は暴力的な指導や脅迫的な言葉が使われていないかということです。
つまりパワハラが行われていないか,気を付けましょうということです。
日常的に恐怖を感じるようなコミュニティでは,円滑な人間関係は構築できません。
かつての日本の体育会系では前時代的なしごきが行われていましたが,今はそのような社会ではないです。
ビジネスの世界では「心理的安全」が重要視されるようになっています。
どのような発言や考え方をしても,否定や処罰されない環境をつくることで生産性が向上するというものです。
これは決して馴れ合い・ぬるま湯の関係を指すものではありませんが,一挙手一投足にプレッシャーがかかるようでは,いいパフォーマンスが発揮できるわけがありません。
これは武術の世界でも同じです。
本来は生死に関わる技術の問題ですから精神の鍛練は重要です。
しかしメンタルトレーニングとパワハラに耐えることはまったくの別問題です。
伸び伸びとできる環境で自分を活かしてあげましょう。
④は指導者も自らを高める努力をしているかということです。
「武道に入門はあっても,卒業門はありません。」
この言葉は僕の師匠が言ったのですが,僕のお気に入りの言葉になっています。
武術の世界は極めつくすということはないので,完璧・完全はあり得ません。
極論してしまえば死ぬまでが,修行の日々で老いても成長を続けるものです。
言ってしまえば向上心を失った人は,慢心しているか成長を諦めてしまった人ということになります。
どうせ教えを乞うのであれば,前向きな人から教わりたいですよね。
合気道の創始者である植芝盛平氏は,亡くなるその日まで稽古を続け,「自分は今が絶頂である」と言って息を引き取ったそうです。
かくありたいものですね。
見学の際に見るべきところは,大体こんなもんですね。
技術の巧拙がわからなくても,なんとなく判断がつきそうなラインだと思います。
03:体験してみる
さて,見学の際に実際に刀を振る体験できるかどうかは,道場によって変わってくるところだと思います。
訪問する前に体験できるかどうかを確認しておき,念のため多少動きやすい服装で見学に行けばいいでしょう。
とはいえいきなり技を教わったりすることは,ほぼあり得ないです。
木刀での素振りや刀の構え方を教わる程度になると思います。
難しいことは考えずに,楽しめそうかだけ感じてみてください。
自分に馴染む習い事かどうかはすごく大切ですからね。
ただし,やたらべたべたと体を触られたりしたら,持ってる木刀でぶん殴って帰りましょう!
入門しても碌なことがありません。
もしも木刀を余裕で防ぐようなら,達人かもしれないので入門を検討してもいいかもしれないですけどね。
冗談ですよ(笑)
セクハラを受けても,急いで帰宅するだけにしてください。
暴力反対,平和万歳。
04:質問する
質問する内容に関しては,見学してみて気になったことを自由に聞いてみればいいと思います。
特に思いつかない場合は,以下のことを聞いておけばいいでしょう。
- 1年間にどの程度の金額がかかるか
(月謝や会費,大会参加費やスポーツ保険など) - 稽古に必要な道具どんなものか
(刀,木刀,道着,帯,手入れ道具など) - どうやって道具を揃えるか
(おススメの店舗,道場からの貸出,通販など) - どのような行事があるか
(大会,運営会議,寒・暑中稽古,合宿など)
「気になることは遠慮せずに何でも質問しよう。
聞かないで入門して後悔したら勿体ないからな」
Step4:入門しよう
見学が終わった勢いで,そのまま入門の申し込みをする……というのは死亡フラグです。
高い買い物をするときに必要なのは比較検討です。
相場がわからないのに買い物をすれば,高値掴みさせられるかもしれません。
複数社から見積もりを貰って,異常な値段のモノがないのか確認するのが買い物上手への第1歩。
では,賢い道場選びのコツは?
そう。
やっぱり比較検討です。
とはいっても,複数の道場主が
「ウチのセールスポイントはこれで……,」
「私共は,こんな特徴を持ってます……。」
「「どうかこちらへ入門してください!!」」
なんて提案をしてきてくれるわけないですよね。
「じゃあ,どうやって比較するのさ!」と思ったあなた。
答えは簡単です。
気になる道場は全部見学に行きましょう。
「そんなの面倒くさいわ」ってズッコケましたか?
でも,テキトーに選んだところに入って,お金と時間とやる気を損したら勿体ないですよね。
『良師は3年かけて探せ』と言われるくらい指導者選びは大切です。
多少大変でも,納得できる道場を見つけるために色々な道場を回って分析・比較してみましょう。
同じ道場にだって気になるところがあれば,何回だって行ってみましょう。
①ブラックそうなところを洗い出す
道場見学をした後,比較検討をするためにやるべきことはもうわかりますね。
そう。道場破り…………ではなく,ブラックな団体か見破ることです。
Step3でやってきた,
『事前連絡・周辺確認・道場見学』
を通して問題点がないのか振り返ってみましょう。
決して粗探しをするわけではありませんが,コミュティが健全かどうかはしっかり見極めましょう。
なんにも考えずに入ったらカルトじみた団体だった!
なんてことになったら目も当てられません。
そんなこと言われたって,どうやって判断すればいいのかわからないよ。
「助けてド○えも~~~ん」となっている人のために,気を付けるべき点を挙げてみました。
とはいえ,僕の主観ゴリゴリなので,あくまで目安程度に考えてください。
- すぐに入門させようとする
→こちらの仕事の状況や生活スタイルを確認せずに,やたらと入門を勧めてくる人は配慮の足りない人です。価値観や考え方を押し付けられて,きめ細かな指導が受けられない可能性があります。 - 高価な道具を買わせようとする
→模擬刀や道着を一通り揃えても5万円~10万円程度です。初心者にいきなり高価な真剣を買わせようとしたり余分な費用をかけさせようとする場合は,よくない商売をしている可能性があります。 - 尊大な態度をとる
→偉そうに上から目線で語る人とは,円滑なコミュニケーションは難しいでしょう。入門しても部下や家来のように扱われる可能性があります。 - 他の流派・団体の悪口を言う
→他流派の技術や考え方を間違っていると断定するのは危険です。多種多様な方法があります。誹謗中傷をする人の近くにいると火傷しかねません。 - 過去に破門された人がいる
→現代においては,よほどのことをしない限り門下生を破門することはあり得ません。破門したことをわざわざ吹聴するような人の弟子になれば,ぞんざいに扱われる可能性が高いです。 - 他の団体から独立した
→自分の師匠と喧嘩別れをして新しく団体をつくった指導者は,気性の激しいと思われます。理不尽やスパルタな稽古を課される可能性があります。自分の腕前や技法に自信があって新流派をつくる人もいますが,風変りな人であるでしょう。 - 宗家・正統をやたらと強調する
→大仰な称号を名乗ったり殊更に自流派の正統性を主張したりする場合は,博付けに利用している可能性があります。肩書と技術力・指導力には,直接の関係がないことに気を付けましょう。また,本当は新しく作られた創作流派のため,歴史や経歴を捏造している可能性もあるので注意しましょう。 - 派手な恰好や見栄えのするパフォーマンスをする
→カラフルな着物や新選組の羽織りを着用して演武をしたり,やたらとくるくる回転するなどの動きが多い流派は,現代になって作られた創作流派の可能性があります。古来から伝わる流派であれば,動きにくい服装でや無駄の多い動きを伝えている可能性は低いです。
「新興流派でも構わない。どうしてもこの流派を学びたいんだ!!
って人は,⑥~⑧はそんなに気にしなくてもいいかも。
新しいからと言って,技術力が低いワケではから。
ただし,騙されてお金を取られるのには注意してね」
②比較検討する
複数の道場を見学して判断材料の洗い出しが終わったら,次は比較する番です。
頭の中だけで検討してもごちゃごちゃしてしまうので,簡単な表に書き起こして整理しましょう。
架空の道場を例に表を作成したので,見てみましょう。
道場A | 道場B | 道場C | |
---|---|---|---|
稽古日 | 月/木 (18:00~20:00) | 水/日 (20:00~21:00) | 日 (13:00~14:30) |
移動時間 (手段) | 1時間 (徒歩+電車) | 15分 (徒歩) | 30分 (自動車) |
費用 | 3,000円/月 | 15,000円/月 | 3,500円/月 |
立地 | 駅近,近隣に飲食店 | 家から近い | 郊外 |
ポジティブ材料① (論理的な指導) | 1 | 3 | 1 |
ポジティブ材料② (指導の頻度) | 1 (少ない) | 1 (多い) | 3 (適切) |
ポジティブ材料③ (高圧的な指導をしない) | 1 | 0 | 3 |
ポジティブ材料④ (指導者も稽古している) | 1 | 3 | 2 |
ネガティブ材料① (すぐに入門させようとする) | 0 | -3 | 0 |
ネガティブ材料② (高価な道具を買わせようとする) | 0 | -2 | 0 |
ネガティブ材料③ (尊大な態度をとる) | -1 | -3 | 0 |
ネガティブ材料④ (他の流派・団体の悪口を言う) | 0 | -2 | -1 |
ネガティブ材料⑤ (過去に破門された人がいる) | 0 | 0 | 0 |
ネガティブ材料⑥ (他の団体から独立した) | 0 | -1 | 0 |
ネガティブ材料⑦ (宗家・正統をやたらと強調する) | -1 | -1 | 0 |
ネガティブ材料⑧ (派手な恰好や見栄えのするパフォーマンスをする) | 0 | 0 | 0 |
合計点数 (ポジティブ/ネガティブ) | 4/-2 | 7/-12 | 9/-1 |
こういう風にまとめると,
「僕は週1回程度,適度に体を動かせればいいからCの道場でいいかな。
他の道場についてネガティブなことも少し言っていたけれど,
しゃべり方は丁寧だし指導も親切だから,多分まともな道場だよね。
道場近くにお店とかはないけど,車で行くからまあいいか。」
「うーん,道場Bは先生は厳しそうだし,余所の流派に対して排他的だなぁ。
金銭的にも高いうえに,ネガティブなポイントも多いからきをつけないと……。
でも,先生のレベルは高いし,説明も理解しやすそうだな。
決めた!! 本物の技術を学ぶために道場Bに通おう。」
みたいな感じで考えを整理できます。
ここで重要なのは単純な点数計算をすることではなく,各道場の特性を理解して,自分の目的にあった道場を探すことです。
それぞれの道場に通うことで得られるメリットとデメリットとそれに伴うリスクを考慮して通う道場を決めましょう。
なんの欠点もなくてお金もかからず,いい所だらけの道場があれば最高ですが,残念ながらそんな道場は存在しません。
人間で例えれば,優しくて綺麗で頼りになって自分にだけ優しくどんなワガママでも聞いてくれるような高収入高学歴で家柄もいい理想の恋人……なんてものがいないのと一緒で,ないものはないです。
良い点も悪い点もある中から,自分の目的に合ったものを見つけましょう。
③申し込みをする
通う道場が決まったら,後は申し込むだけです。
入門の意思を伝え,手続きを済ませましょう。
必要な書類やお金の支払い方法などは各団体によって違いがありますが,道場からの指示に従ってください。
稽古が始まるまでに必要な道具を揃えて,新しい世界へ飛び込みましょう。
「入門の段階まで進めば難しいことは特にないよ。
稽古初日に元気なあいさつだけ忘れないように。
これからの居合ライフを存分に楽しんでね♪」
まとめ
- Step1:居合に何を求めるのか
→目的の設定 - Step2:道場を探そう
→情報収集 - Step3: 道場を見に行こう
→判断材料の収集 - Step4:入門しよう
→比較検討
自分が何をやりたいのかとその目的に合った道場を比較検討で洗い出すのが大切ってことだね。
どうでしょう。
かなりの長文になってしまいましたが,居合を始めるための手順はわかってもらえたでしょうか?
色々と難しいことや面倒なことも書きましたけれど,きちんとした道場さえ選べれば,居合の稽古はとても楽しいものです。
なにせ一生続けられるし,成長し続けられるものですから。
僕は本当に楽しんで稽古しています。
人生変わったっていうレベルですね。
今まで居合に興味あったけれど一歩踏み出せなかった人が,この記事を読んで,しでも多くこの世界に足を踏み入れてくれれば幸いです。
入門はあっても卒業門はない,ずっと進歩する道へようこそ。
それでは今日もありがとうございました。
…………残心ッ!!
- 広辞苑無料検索
(https://sakura-paris.org/dict/) - 公益社団法人 大阪府剣道連盟『登録団体名簿』
(https://osa-kendo.or.jp/about/org/member?dojo_areacode=12) - 居合道 道場案内所
(https://iai-dojo.jp/) - WEB秘伝『全国道場ガイド 剣術/居合/刀剣』
(http://webhiden.jp/guide/category/ken/) - YouTube
(https://www.youtube.com/) - Wikipedia『Category:居合』
(https://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E5%B1%85%E5%90%88) - コピペ辞書『朝食の目玉焼きを作っていたら』
(http://blog.livedoor.jp/sana_dolls-copy/archives/24191242.html)